兵庫県の小さなスキー場のはなし
 〜ちょっと前のはなしだけど〜

 国道からすぐの所に1,000台、1,200台の駐車場を持つ大きなスキー場の奥に位置し、600台の駐車スペースしかない小さなスキー場で、森林組合のおじさん(おじいさん?)達が冬場の出稼ぎに行くのを止めて開業、10年経過。冬の稼ぎ時は、都会の大学生を三食付でバイト募集して、彼らに駐車場係りや、ロッジレストランのウエイター、ウエイトレス、監視員など直接お金を扱わない仕事をさせている。

 峠を越えて凍結した道路を恐る恐るスキー場入口へ。土曜日でもあり、既に前に50台ほどの車の列。15分位で入場し、駐車場へ。と、突然カン高いホイッスルの音。バイトの学生が交通整理のおまわりさんの様に、「そこダメ、こっち」と身振り手振りで誘導され、駐車。フー。
私の娘が一言、『感じワルー!』

 スキーウエアに着替えてひとまずレストランでモーニングコーヒーを飲もう、と。バイト給仕係りが落ちている紙ゴミを跨いで注文を取り、去った後、妻がそっとゴミを拾い
『理事長さんも大変ね』と。
さて、これからがサービス業のマーケティング。
 依頼を受けて私と佐野君(私の仕事のパートナー)がやったのは、お客様に接する仕事を正社員のおじさん達、おばさん達に換わって頂いたこと。
 駐車場係りをする事になったおじさん達は、来場してくれたお客さんを見ただけで嬉しくて、満面の笑みを浮かべ、頭を下げながらお車を御案内。
もちろんホイッスルはもういらない!!

 レストランの近所のおばさんウエイトレスは、腰に巻いたフキンでテーブルをさっとひと拭き、ゴミも無い。
だって自分家でいつもやっている事だもん!

 偉かったのは理事長・専務。駐車場待ちのお客様が並んでいる車の窓をコツコツとたたいて、温かい麦茶をボットから注ぎながら『お待たせしてすんません。ウチの駐車場は600台で一杯になりました。手前の○△スキー場で50台、その手前の△×スキー場で200台の空きが有るとの事です。宜しかったら今回はそちらで楽しんで頂き、次回には、少し早めに来て貰えれば嬉しいです。』と、一台一台を回ったこと。

 さて、翌年のスキーシーズン。お客様はリフトの待ち時間(600台しか入れないために)長くても15分、駐車場が満杯になれば、近隣のスキー場に問い合わせて、空き情報を温かい麦茶を持って案内してくれる田舎の(失礼)、人の善いおじさん達の居る“不便で小さなスキー場”をまず先に訪れる様になった。

 結果、前年8,000万円弱の売上が、翌年は1億7,000万円に、その翌年は2億円台へ。夏のシーズンも人工スキー場の投資もあり、ついにあこがれの3億円を達成!

 10年間で溜まっていた7,000万円の累積赤字ももちろん解消!
だって一人のお客様でもリフトは運行する訳で、運営コストは殆ど変わらなく、損益分岐点を越えた売上は純利益だもん!
その頃悩んで居られた駐車場倍増計画は、も・ち・ろ・ん・取り止め!

マーケティングとは、お客様のご満足を得る のが目的。
マーケティングは、効果・結果が判かりくい なんていう経営者は誰だ!?






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